コンピュータを眺めている客が実際に買う割合、土曜日の午前中……4%午後5時以降……3%・ショッピングモールの家庭用品の店で客が買い物カゴを使う割合……8%カゴを使う客が実際に品物を買う割合……75%、反対にカゴを使わない客が品物を買う割合…34%この場合は当然、過去に学んだことのすべてを利用して、カゴを使う客の数を増やす方法を提案する。
たとえば、お尻がぶつかって(こすれて)生じる現象は、ほとんど偶然に発見された。
ニューヨークのブルーミングデール百貨店に依頼された初期の調査で、われわれはカメラを一階の正面入口の一つに据えつけたのだが、レンズはたまたま入口の近くの主要な通路に置かれたネクタイの棚もとらえていた。
混雑時に買い物客が入口をどのようにして通り抜けるかを調査するためにテープを見直していたとき、われわれはネクタイの棚で奇妙なことが起こっているのに気づいた。
買い物客は棚に近づき、立ち止まって品定めしようとするが、店を出入りする人びとにちょっと押されると、ネクタイ探しを諦めてしまうのだ。
何度も見直したが、明らかに客は、背後からぶつかられたり、触られたりすることを好まないようだった。
とくに女性がそうで、男性はある程度まで気にしないようだ。
女性たちはそれを避けるために、興味のある商品から離れることもある。
クライアントにたしかめたところ、このネクタイの棚の売上げが主要通路としては低いことがわかった。
この棚の成績が悪い理由はお尻がぶつかるためだとわれわれは推測した。
これを店長に告げたところ、彼は会議室の椅子から飛び上がって電話をつかみ、例のネクタイの棚を主要通路から少し離れた場所へ移動させた。
数週間後に、ストアプランニングの責任者が私に電話をかけてきて、ネクタイの棚の売上げが目に見えて上昇したと告げた。
その日以来、われわれは狭すぎる場所のせいで買い物客が追いたてられてしまう似たような事例を無数に目撃した。
もう一つの「偶然」は、スーパーマーケットの調査をしているときに訪れた。
ドッグフード会社の依頼で、ペット用品売場を観察していたところ、ドッグフードは大人が買っていくのにたいして、レバー味のビスケットのような犬のおやつを買うのが子供か老人であることに気づいた。
思うに、高齢者にとってペットは子供のようなもので、甘やかしの対象である。
また、犬に餌をやるのは子供にとってかならずしも嬉しい仕事ではないかもしれないが、クッキーを食べさせるのはすごく楽しい。
親は子供たちのおねだりを聞いてやっていたのである。
ペットのおやつを実際に誰が買っているのか(あるいは買わせようとしているのか)に注目した者がそれまでいなかったので、ペットのおやつはスーパーマーケットの棚の上のほうに積まれているのがふつうだった。
そのため、われわれのカメラには棚によじのぼっておやつを取る子供が映されていた。
ある老婦人などは、アルミホイルの箱を使って、目当ての犬のビスケットを叩き落としていたが、その場面も目撃された。
商品を子供や小柄な老婦人の手が届く場所へ移動させるよう、われわれはクライアントに助言した。
クライアントがそのとおりにしたところ、一夜にして売上げが伸びた。
明らかな真理でさえ、店舗のこまごましたプランニングや陳列のなかで見失われることがある。
私はクライアントにたびたび言う。
明らかなことは目に見えるとはかぎらない、と。
あるドラッグストア・チェーンの化粧品売場を調査していたときだった。
60代の女性が壁ぎわの棚に歩みより、慎重に調べていたかと思うと、床にひざまずいて、彼女にとって唯一必要なもの、しみやそばかすを隠すコンシーラーを探しだした。
魅力的な商品とは言えないため、陳列棚のいちばん下に置かれていたのだ。
また、ある百貨店での光景だが、肥満した男性が自分に合う下着を探していた。
やがて、あぶなっかしい格好で、床すれすれまで身をかがめ、商品を取りだした。
どちらのケースも、論理的に考えれば、ディスプレイは利用者である買い物客に合わせるべきであって、製作者であるデザイナーに合わせるべきではない。
われわれは、コンシーラーを棚の上方へ移動して、ティーンェージャー向けの商品を床の近くに置くようアドバイスした。
ティーンエージャーは、欲しいものならどこにあろうと見つけだすからだ。
ときに、われわれは集めた情報のすべてを総合して、商店や百貨店の全体像を描き上げることがある。
大手ジーンズメーカーから、自社の製品が百貨店でどのように売られているかを知りたいとの依頼があった。
そこで、われわれはある週末にニューイングランドの2カ所と、南カリフォルニアの2カ所へでかけた。
百貨店はどれも似ていた。
ジーンズ売場は4角形で、8から3の陳列台と、壁ぎわに棚がいくつかある。
まずは各売り場のくわしい地図を描くことにして、商品陳列、売り場に出入りする通路のほか、看板や掲示など販促用の宣材が置かれている場所も書きこんだ。
その週末は、合計85人をトラックし、それよりもさらに大勢の客を、ビデオと微速度撮影用のカメラで観察した。
特に「ドアウェイ」、われわれは店舗区画に出入りする通路をこう呼ぶ、に注目した。どの通路に人気があるかをクライアントが知らなければ、どこに何を陳列し、あるいは買い物客を誘いこむ目玉商品をどこに配置するか、的確に判断することはできないからだ。
調査が完了するころには、顧客の何割がどの通路から売り場に入ってくるかがわかった。
それがわかると、たとえば案内板や掲示の多くが間違った場所にあることが明らかになった。
常識的に、店の正面入口と向かいあうようにして置かれていたのだが、ジーンズを買いにくる客は、たいていまったくちがう方向から売り場に入ってきていたのだ。
メーカーの巨大なネオンサインやロックビデオを流すモニターさえ見当ちがいな方向を向いていて、最大多数の買い物客にメッセージを送るという本来の役目をはたしていなかった。
トラッカーは買い物客のあとについて陳列台をまわり、どこで足を止めたか、どの掲示を読んだか、ビデオのモニターに目をとめたかどうか、商品をどう扱ったか、何かを試着室にもちこんだかといったことを観察した。
連れの者にジーンズを見せていれば、それも記録した。
ビデオには買い物客のインタビューもおさめられている。
客の年齢層やライフスタイル、考えかたなど、その行動と結びつけて考察するためだ。
たとえば、高卒の若者でジーンズを買うときは、ブランド優先という客が値札を見るかどうかといったことである。
調査が終わり、数字が処理され、解析されてから、われわれは判明した事柄にどのような意味があるかを考える。
たとえば、男性客は最初にでくわした棚からジーンズを買う確率が高かったとする。
そして男性用アクセサリー売場から入ってくる客のほうが女性用ジーンズ売場やエスカレーター側から入ってくる客よりも多いならば、われわれはクライアントにたいして、男性用アクセサリーの近くに陳列棚を置かせるよう助言する。
あるいは、別の要素があるかもしれない。女性同伴の男性で、売り場の女性部門からやってくる客のほうが、一人だけの男性客よりもジーンズを買う確率が高いなどである。
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